The book of the year 2015: アントニオ・タブッキ『供述によるとペレイラは』

供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

タブッキはイタリアの作家で、ポルトガル文学の研究者。幻惑的な小説を書く人ですが、この作品はリアリズムです。

権威主義体制下のポルトガルにおける市民的不服従の話。主人公はヒロイズムとほどとおい文芸記者で、あからさまな抑圧に対してときたまイヤイヤをしてみせるくらいの、われわれ同様という逃避的な人物。なりゆきで革命家の青年とつきあうようになったことから、秘密警察に追い詰められて、土壇場でうっちゃりを決めてみせます。

あわせて読みたい: J.-P. サルトル『植民地の問題』。抵抗と、「われわれ」(あんたもだよ)が政治的状況に置かれてあることについての論考をまとめた本。