ジョージアの映画監督テンギズ・アブラゼによる三部作。いずれも下高井戸シネマで見ました。
寓話的な表現は一貫しているものの、時代をくだるごとに散文的に、また政治的に危険になっています。どの作品でも、多声合唱がふんだんに使われています。
『祈り』は1967年作品。ヴァジャ・プシャヴェラの叙事詩を、たぶんほとんどそのまま脚本化・映像化した作品。映像は奇妙で美しいものの、細部はさっぱり分からなかった。三本の中で最後に見たのですが、最初これだったらきつかったかな。
『希望の樹』は1977年作品。革命前の農村で、若者の愛が因習でもってすりつぶされる悲劇。楽しくて変てこで優しくて、これが一番好きでした。ジョージア・ナショナリズムが結構わかりやすく出ていると思う。
最後の『懺悔』は1984年作品 *1 。スターリン時代の全体主義と、その「現代」、つまりブレジネフ時代における後継者を、けっこう直接的に告発する内容。これがまだソ連が安泰と思われていた1984年に撮られたというのはすごい。