ボルヘス『不死の人』

不死の人 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

不死の人 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

ボルヘス『不死の人』を読んだ。多くの短篇が再読だった。「死んだ男」「敷居の上の男」などは相変わらず素晴らしかった。「ザーヒル」など、晦渋な目くらましの魔術的な作品は、つまりボルヘス的な作品は、色あせて、子供だましのように見えた。

ダンレイヴンは、探偵小説に精通していたので、謎の解決はつねに謎そのものより劣ると考えた。謎は超自然的なもの、そして神的なものにさえ関与する。解決は手品師の手練だ。
(前掲書 189ページ 「アベンハカーン・エル・ボハリー おのれの迷宮にて死す」より)

ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』を再読した時にも、似たような感想を持った。