伊勢参宮神乃賑

ようよう上がりましたわたくしが初席一番艘でございます。おあと二番艘に三番艘、四番艘に五番艘、御番僧にお住持に旗に天蓋、銅鑼に妙鉢、影灯籠に白張と申しますとこら葬礼の方で、てな具合にガチャガチャと始まりますのが上方噺の旅のお噂、「伊勢参宮神乃賑」、通称「東の旅」でございますが、わたくしは品川の宿から箱根の山を越えて、浜松名古屋を尻目に殺して、西へ西へのお伊勢参りでございます。その道中の陽気なこと!

宮巡り

初日に月夜見宮と外宮、二日目に月讀宮と内宮へと参りました。

外宮も内宮も拝殿がなく、本宮を拝むところには幕が張られていて、その先の垣根は門が閉まっていて、その先に本殿があって、裏には回れない。新約聖書の神殿の幕が裂けるシーンを思い出して、ははあ、となりました。

古市

内宮をお参りしたあと、お茶を飲んで赤福を食べて、ひとしきりゴロゴロしてからの帰り道、バスが「古市」の停留所に差し掛かりました。古市といえば昔の遊郭で、伊勢参りの旅人が精進落しに訪れて、ずいぶん繁盛したところだそうです。

思わず降りてひとめぐりしてみましたが、今はただの高台の住宅地で、集落の端っこの小さな資料館はもう閉館時刻を過ぎていました。

こんなもんかいなとブラブラして、唯一まだ営業しているという麻吉旅館に立ち寄ってみたところ、かつての妓楼のたたずまいをバッチリ残していました。

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資料館は翌日に再訪しました。

言葉

伊勢のひとたちの言葉は、おおむね名古屋よりも大阪京都に近いようです。

ただ、バスの運転手さんは「お降りの方みえますか(いらっしゃいますか)」と言っていました。これは名古屋と同じです。

伊勢の雀は東京の雀よりもシュッとしていて首が長い気がしました。気がしただけかもしれません。