今場所の稀勢の里は素晴らしい。今度こそ優勝するよ！
でも何故良くなったのかが不思議で、左は相変わらず中々差せないし、差しても廻しが取れない。腰が高いのも以前の通り。でも、先場所までなら不十分のまま腰高で無理攻めして逆転食って僕が大激怒していたのが、今場所の稀勢の里は我慢して動かず圧力を掛ける。あの巨体にジックリのしかかられて、豪腕で絞り上げられたら、相手は消耗するし身動きがとれない。
特に北太樹戦。さすがに相四つだから左は簡単に差せて、しかし廻しには左右とも手が掛からない。そのまま寄って行ったんだけど、相手の足が徳俵に掛かった所で一時停止、体をあびせたまま動かない。生殺し状態の北太樹が自壊するのに合わせて左をすくって寄り倒した。稀勢の里に限らず、こんな詰め方を見たのは初めてです。
今日の豊ノ島戦も良かった。豊ノ島にうまく取られて上手を許すと、今度は土俵中央で動きを止めた。そこから重機のような左腕で相手の上手を引き剥がして、後は相手の引きに乗じて出た。
十分の左四つで上手が取れれば最強なのに、世の中うまく行かねーな、なんつってここ七年くらい悲しみにくれていた僕はまったくのド素人でした。こんな進化の仕方があったんだね。
