月夜釜合戦

久しぶりのユーロスペースで、釜ヶ崎とその周辺を舞台としたドタバタ喜劇『月夜釜合戦』を見ました。前日の土曜日、渋谷美竹公園の共同炊事にスタッフの方々が大釜持参で参加されたので、ほないたろ、てなもんです。

楽しくて分かりやすくて綺麗事じゃなくて、とても良かった。自分は釜ヶ崎に行ったことはないけれど、フィクションでしか捉えられない真実を撮ったんだと思いました。とりわけおっちゃん二人組の演技が素晴らしい。

主人公格の仁吉はクストリッツァ映画に出てきそうな造形で、また『アンダーグラウンド』の本歌取りみたいなくだりもあるのだけど、『釜』は『アンダーグラウンド』と対照的に、ドタバタも暴動もおっちゃんたちも、どこかへ消えてしまって終わります。釜ヶ崎という土地に深くコミットしているスタッフたちが、ストーリーから遊離したこのシーンを最後に持ってきたということについて、昨日からうじうじ考えています。