土俵上の「女人禁制」の撤廃を求めます

本場所、巡業その他における土俵上の「女人禁制」の撤廃を求めます。それは性別についての差別だからです。

書きたいことは以上で終わりですが、愛想がないのでもうちょっと続けます。

4月4日の舞鶴巡業で、来賓の舞鶴市長があいさつ中に倒れました。この際、土俵上で救命措置をおこなった女性に対して、行司や年寄が土俵を降りるよう求めました。

さらには6日の宝塚巡業で、土俵に上がってあいさつすることを要求した宝塚市長の中川氏に対して、相撲協会は、氏が女性であることを理由に拒否しました。

いずれも明白な差別です。もちろん、これらの差別事件は何の脈絡もなくいきなり起きたのではなく、「女人禁制」自体の差別性がこの二日間に露呈した、ということです。

6日の中川発言については、舞鶴の事件に便乗し、政治的に利用したものであるとして、批判する声をいくつか目にしました。以下では、この点について論じたいと思います。

まず、中川氏自身が差別の当事者である、ということを認識する必要があります。現に差別を受けた人に対して、状況やタイミングがどうこうであるから声を上げることを慎め、と求めることは不当です。

また、中川氏は自治体の長であるという点で影響力の大きな政治的主体でもあります。今このタイミングで、氏がなにも声を上げないとしたら、消極的にであれ、「女人禁制」を支持することになります。あっちかこっちかであって、中立はあり得ません。この点をあいまいにせず、態度をはっきりと示した中川氏はえらいし、その要求、発言の内容も正当なものだと思います。

「なにも声を上げないとしたら、消極的にであれ、『女人禁制』を支持することにな」るということは、当然ながらファンである私自身にも跳ね返ってくることです。どうしましょう。五月場所で署名集めでもしようかしら。

相撲興行は、その時々の世間に阿って伝統をでっち上げたり *1 、弾圧を避けるためになかったことにしたりして *2 、300年間のらくらと人気を取ってきた文化です。「女人禁制」を撤廃することくらいはわけもないことで、それによって何が失われるわけでもありません。

*1:横綱の地位、土俵入りの所作などなど。

*2:行司の装束、あるいは「女人禁制」それ自体。