コクソン

「アシュラ」の翌日に下高井戸シネマで観劇。連日の韓国映画

白いリボン」に「エクソシスト」とゴールディング蝿の王を加えてグチャグチャに突き混ぜた上からユッケジャンをぶっかけたような映画でした。これは相当にものすごい作品です。脚本も映像も圧倒的でした。

伝奇ものにゾンビものに怪しいよそ者、そしてゴアと、ありとあらゆる怖い要素をぶっこんだお話。初手からいきなり直接的に怖いのに、時が経つごとに状況が混迷して、なにを信じていいか分からなくなり、疑心暗鬼の恐怖に追い込まれるという展開。ボルヘス推理小説について「謎は超自然的なもの、そして神的なものにさえ関与する。解決は手品師の手練だ」 *1 と述べていますが、その逆を行って成功しているわけです。ホラーのお手本だと思います。

映像と音響の面での白眉は祈祷のシーン。あまりの禍々しさに、ただ呆然と圧倒されていました。

舞台は韓国の田舎なのですが、風景が日本の農村に酷似している。田畑や山林や建物はもとより、納屋に雑然とプラスチックケースが詰まれてるところとか、そんなとこまで見たことがある感じ。変なところで感心していました。

タイトルは、よそ者を演じた國村隼に引っ掛けてるのかしら。エンドロールで気づきました。

*1:ホルヘ・ルイス・ボルヘス『不死の人』白水Uブックス、189ページ、 「アベンハカーン・エル・ボハリー おのれの迷宮にて死す」より。