下高井戸シネマで鑑賞。
雇主の別荘に招かれた主人公が、雇主が秘密の内に開発した、作中の表現では「AI」、実態に即して言えば「強いAIを内蔵したアンドロイド」の試験をする、という設定が会話や映像から断片的に明らかになっていく構成のSFサスペンス映画です。
雇主はこの試験を「チューリング・テスト」だと言っているのだけど、主人公が正しく指摘しているように、これはおかしい。チューリング・テストは機械の応答が人間の応答と見分けがつかないものであるかどうかを確かめるものであるのに対して、主人公は対話相手がAIであることをあらかじめ知らされているからです。はぐらかすような対応から、試験の意味合いや雇主の目的についての疑念、自分に対する監視の強度についての猜疑が生まれて、サスペンスの駆動力になります。
別荘の施設は洗練された、しかし陰鬱なレトロフューチャーで、戸外の大自然と好対照をなしており、この映像だけでも見る価値があります。