東九州

三泊四日、出たとこ勝負でブラブラしました。結局東九州を縦断していました。

小倉市

歯医者や掃除やなんやかやあって、東京を離れたのがお昼すぎ。電車で小倉に出て、先のことはおいおい考えることにしました。

小倉駅南口の市街は、ゴチャゴチャした猥雑な雰囲気で、かなり好きな街でした。名古屋の大須に似ています。名物の焼きうどんを食べて、焼酎を飲みました。

門司港

翌朝は小雨が降ったりやんだりの天気で、短パン半袖ではちょっと寒いくらいでした。

鹿児島本線を東に戻って門司港に行きました。横浜や神戸の港をぐっと小さくした感じのところです。対岸の下関がすぐそこなので、潮の速さが見えるかと思ったけど、よく分かりませんでした。

宇佐八幡

大分県に南下して宇佐八幡を参詣しました。全国の八幡様の元締めです。境内が茫洋と広く、さらに本殿は丘の上なので、脚力を使います。

「皇族下乗」なんて掲示があって、中々勢力のあることだと思いました。

双葉の里

宇佐は双葉山の出身地です。町外れに小さな記念館がありました。土産物屋にちょっとした展示をくっつけたようなものです。大した買い物もしないのに梅昆布茶を振る舞われて、恐縮しました。

大分県は双葉の他にも千代大海、豊国、垣添嘉風といった強い力士を輩出しています。

青島神社

別府や由布院に宿は取れず、小倉に戻るのも癪なので、宮崎まで南下することにしました。宇佐は大分県の北部、宮崎市は宮崎県の南部なので、特急でも三時間から掛かります。宿についたのは深夜でした。

翌朝はピーカンの本陽気。これなら短パン半袖でも大丈夫です。

青島は宮崎市街からさらに南下した陸繋島で、ここまで来るとだいぶ南国といった雰囲気です。青島をぐるりと取り囲む海岸は、何百という地層が露出して、洗濯板の山のようにデコボコ突き出ています。「鬼の洗濯岩」と呼ぶそうです。ちょうど引き潮の時刻だったので、谷間には水が溜まっていました。

青島の真ん中には神社があって、おおいに賑わっていました。

鵜戸神宮

海岸をバスでさらに南下して鵜戸神宮に向かう道中、道の駅や遊園地の人出で渋滞して、時刻表どおりなら三十分でつくところが、二時間くらいグツグツ煮られました。こっちはボケーと海を眺めていただけですが、運転手や他のお客さんは大慌てで気の毒でした。

バスを降りた駐車場の先は、山越えの参道と、トンネルを掘った新しい道に分かれていました。何も考えずに鳥居の掛かった元の参道を進んだのですが、大抵の人は新しい道を歩くようで、誰とも出くわしませんでした。峠を越えると参道の向こうに静かな海が見えました。

階段を降りると新しい道が合流して、ふたたびにぎやかになります。磯の道を岬の方に進むと、岩が大きくえぐれた洞窟の中に本殿が鎮座していました。一番奥まで、天井から水が滴っていました。

本殿の向かいの岩はてっぺんが桶ぐらいにへこんでいて、ここに素焼きの球を投げ入れて遊びます。十投して一つだけ入りました。

霧島神宮

この日に帰ろうかと思っていたのですが、朝の時点で飛行機が取れなかったため、霧島に回ってもう一泊することにしました。バスで油津に出て日南線を北上、南宮崎から西に向かって、宿についたのはやはり夜遅くです。

翌朝は早起きして霧島神宮に向かいました。いかにも神宮らしい立派な神社でした。

そのまま空港に向かったところ、今出る便に空きが出たので代わりに乗ってってくれないか、と打診を受けて、慌ただしく東京に舞い戻りました。飛行機はあまり好きじゃありません。街や海岸線や山が、地図の形をして眼下に一望できてしまうので、現世から切り離されたような、心細い気持ちになります。できることなら、いつも地面に這いつくばっていたいのです。