開発環境としてのデスクトップLinuxのススメという記事に、id:footnote さんが次のコメントをしていました。
言いたいことはわかる気がするけど、ただひたすら軽いというだけでアピールするのかな。Windowsはもちろん、OS Xと比べてもパッケージ管理がぐちゃぐちゃにならず、開発環境の整備と維持が楽になる点が重要。
http://b.hatena.ne.jp/footnote/20150312#bookmark-244151171
僕は自宅のサーバをArch Linuxで動かしていて、必ずしも「楽」ではないぞ、と思っていたので、次のようにコメントしました。
ことArch Linuxについては、「パッケージ管理がぐちゃぐちゃにならず」とは言いづらいです。ぐちゃぐちゃにならないように日々注意を怠らず、時と場合によってはためらわず腕力をふるう必要があります。
http://b.hatena.ne.jp/miyakawa_taku/20150312#bookmark-244151171
「『ぐちゃぐちゃにならず』とは言いづらい」は正しくありませんでした。Arch Linuxのパッケージ管理システムは非常に洗練されていて、気楽ではないにせよ、変なことをしなければ、ぐちゃぐちゃになることはまずありません。言いたかったことは、「楽ではない」です。
このコメントに対して、次のブログ記事を書いていただきました。
(少しの手間と工夫を惜しまなければ)きれいなやり方でパッケージが管理できることがFreeBSDの利点であり、Arch Linuxも同様ではないか、という趣旨と理解しました。FreeBSDはほとんど知らないのですが、Arch Linuxについてはまったくその通りだと思います。
というだけではあまりに簡単なので、Arch Linuxについての自分の見解を書くことで、返事とさせていただきます。
見解
Arch Linuxはローリングアップデートを特徴とするLinuxディストロです。つまり、Debianなど他のディストロのような「バージョン」が存在せず、各パッケージが随時最新の状態にアップデートされ続けます。基本的に、アップストリームの最新のリリースが、余計な手を加えずにほとんどそのままArch Linuxのパッケージとしてリリースされます。
具体的には、次のコマンドで変更のあったパッケージをアップデートします。一部のパッケージだけをアップデートする、のようなことは想定されていません。
sudo pacman -Syu
大きな変更がある場合には、「自分の足を撃ちぬくなよ」というようなメッセージが表示されます。この場合には、ArchWikiの関連ページやフォーラムを見に行って、必要な事前作業・事後作業を把握する必要があります。Wiki, フォーラムとも極めて情報量が豊富で、しかも新鮮です。特にWikiは、Arch Linux以外のディストロを使っている時にも、役立つことがしばしばです。
時には、警告が表示されないにもかかわらず、アップデート後にシステムが動かなくなってしまうこともあります。そんな時は、Wikiやフォーラムを参照しつつ、頑張って復旧します。自分の踏み抜いた地雷は、たいてい他の誰かが既に踏んでいます。孤独な戦いではありません。
たとえばDebianであれば、数年に一度のメジャーアップデートの他は、まず安心してアップデートが適用できます。これに対してArch Linuxでは、非連続的なアップデートが無い代わり、予期せぬときに腕力をふるう必要があります。
手間ひまかけて面倒が見られるシステムには、とてもよいディストロだと思います。